カクテルのグラス①

カクテル創作に必要不可欠なグラスには、さまざまな形や素材、模様のモノが使用されます。
こうしたグラスには形、大きさなどに理由があるのでご紹介して行きましょう。

「オールドファッションドグラス」は、背が低くて、円筒形の小形タンブラーで、容量は180~300mlのものが多くなっています。
古くから酒器として使用されてきたものなので、「オールドファッションドグラス」と呼ばれています。口径が広く、大きな氷が入るので、ウイスキーなどを、オン・ザ・ロックスにして飲むときに使用されます。

「カクテルグラス」は、カクテル用のグラスです。
逆三角形のものが一般的ですが、ソーサー型のシャンパングラスのような、丸みのあるものもあり、脚の付いたラッパ状のものは、グラスを傾けずに飲めるので、「ショート・グラス」と呼ばれます。

多くのカクテルは、このグラスを用いて飲まれ、容量は90mlが標準サイズで、材料60ml分で作ったカクテルをカクテルグラスに注ぐとちょうどよい分量になります。

「ゴブレット」は、一般的にコップと呼ばれているタンブラーに、脚の付いたグラスのことです。
ソフトドリンクやビール、氷を多めに使用したロング・ドリンクに用いられ、容量は240~300mlが標準的です。

「コリンズグラス」は、背の高い、円筒形の大形グラスです。
コリンズスタイルや発泡性のカクテルに用いられます。容量は300~360mlで、形状によって「トール・グラス(背高グラス)」、「チムニー・グラス(煙突型グラス)」と呼ばれる場合もあります。

カクテルのスタイル

カクテルには、様々なスタイル(飲み方)があります。

◆「オン・ザ・ロックス」とは、ロックグラスに、大きめの氷を入れて作るカクテルです。

◆「クーラー」は、ベースとなる酒に、柑橘系のジュースとジンジャーエールなどの炭酸飲料を加えたカクテルです。
(※ ノン・アルコールのものもあります。)

◆「コリンズ」は、コリンズグラスを使用して、スピリッツにレモンジュース、砂糖、ソーダをたっぷりと加えたカクテルです。
(※ フィズと似ていますが、フィズと違うのは、グラスが大きく、量もかなり多い点です。)

◆「フィズ」は、主にジンをベースとして、レモンジュース、砂糖、ソーダ水を加えて作るカクテルです。

◆「サワー」は、好みのスピリッツに、レモンジュースと砂糖を加えて酸味と甘味を楽しむカクテルです。
アメリカでは、原則として、ソーダを使いませんが、その他の国では、シャンパンやソーダなどを加えて満たす場合もあります。

◆「バック」は、ワインやスピリッツに、レモンの果肉や果汁とジンジャーエールを加えたカクテルです。

◆「トディー」は、ベースとなる酒に、砂糖とお湯や水を入れて、レモン・スライスを加えたカクテルです。
(※ ホットの場合は、ナツメグやシナモンなどを入れて、香りを楽しみます。)

◆「フラッペ」は、グラスにクラッシュドアイスを敷き詰めて、その上からリキュールを注いで作るカクテルです。

◆「プーススタイル」は、酒などの比重の違いを利用して、重いものから順に、グラスに静かに注いで、美しい層を楽しむスタイルです。

カクテルの語源

「cocktail(カクテル)」というワードが初めて登場したのは、ロンドンで1948年に出版された「The Squire’s Recipes(ザ・スクァイア/レシピーズ)」という小冊子だと言われています。
このカクテルという言葉の語源にはいろいろな説がありますが、有力なのは以下の3つだそうです。

◆メキシコのユカタン半島の町「カンペチュ」にある酒場での出来事です。
バーテンダーの少年は、雄鳥の尻尾に似た形をした木の枝で、ミクスト・ドリンクを作っていたそうです。あるイギリス人がそれを見て、「それは何ですか?」と聞きましたが、少年は言葉がわからず、勘違いして「コーラ・デ・カジョ」と枝の呼び方を答えました。そして、これを英語にそのまま訳した「Tail of Cock」が、「cocktail」に変化したと言われています。

◆アメリカ独立戦争のさなか、ニューヨーク市北にあるイギリス植民地のバーでの出来事です。
女主人は、反独立派の大地主が住む邸宅から雄鳥を盗み、それでローストチキンを作って、独立軍の兵士に与えました。その時、ミクストした酒の入っていたビンに、雄鳥の尻尾を差していました。独立軍の兵士は、それを見て、その雄鳥の正体がわかり、「カクテルばんざい」と叫んだことから、ミクストした酒のことを「カクテル」と呼ばれるようになったそうです。

◆ニューオーリンズでオープンした薬局の看板商品は、ラムベースの病人用の卵酒でした。
そして、フランス人は、その飲み物を「コクチェ」と呼ぶようになりました。その後、病人だけでなく、一般の人のファンも増えていき、混ぜ物をしたコクチェのような飲み物を「コクテール」と呼ぶようになったそうです。

どの説が本当なのかはわかりませんが、どれも決め手を欠くようですね。

カクテルの歴史

お酒に何も混ぜないで、そのまま飲む飲み方を「ストレート」と言うのに対して、酒や飲料などを数種類混ぜ合わせて作るミクスト・ドリンクを総称して「カクテル」と呼びます。
そうしたカクテルは、世界で3000~5000種類もあるそうで、チューハイやサワーなどもカクテルの一種です。

お酒を混ぜて飲むカクテルの歴史は、お酒の誕生と同時期にまで遡ります。

はるか昔の古代ローマでは、ワインに混ぜ物を加えて飲んでいたそうです。
また、古代エジプトでは、ビールの中に、ショウガやハチミツを混ぜ合わせて飲んでいた記録があります。12~17世紀の中世ヨーロッパでは、スピリッツ類やワインなどに、薬草などを加えて、ホットドリンクとして暖めて飲むのが一般的でした。

その後、蒸溜酒技術の普及につれて、レシピが増えていき、社交界でもカクテルが飲まれるようになりましたが、この頃カクテルに使用していた氷は、湖や川などに自然に張ったものを使用していました。

器具を使用して、氷で冷やして作る現代式のミクスト・ドリンクのカクテルは、製氷機が発明された1879年以降になります。
カクテルが最初に花開いたのはアメリカで、第一次世界大戦とともに、アメリカ人が世界に普及させ、第二次世界大戦が終わる頃には、ヨーロッパでも飛躍的に発展していきました。

日本に入ってきたのは明治初期のことで、「カクテル」という呼び名が、東京の人々に知られるようになったのは、大正元年に、バーが下町に出現するようになってからのことです。